いつの間にか身につけてしまった「偽りの仮面」に気づく 心理学のエッセンスBlog


2022/1/3~


救世主妄想

心理的なサポートは楽じゃない、まして仕事にするなら楽を選んではいけないと私は思う 自分の楽・FUNと距離を置き趣味や興味と区別すべきだ
それから生半可なサポートはするべきでない
因みに生半可とは未熟、不十分、中途半端の意
未熟はそのうち解消されるかもしれないが、その後の二つ、不十分と中途半端は心理的なサポートをどう考えているのか支援者としての立脚点に関わり、充分、不十分は支援者側だけで判断できるものでもなく医療と無関係なら益々判断できない そもそも心理支援は過不足を判断できる行為でもないし、良悪しは直ぐに見えるものでもなく何年も過ぎてから何となく分ることもある

心理支援者は自分が何者なのか知る努力が必要だと私は考えている 心理カウンセラーは万能者でも魔法使いでも赤い彗星でもない

 

「センセーのようなカウンセラーになるには…」
のような質問を頂くことがあるが「私のようなカウンセラー」はその方が持っている理想のカウンセラー像を私に張り付けている場合が多い
ということで私がどうな風にみえているのか話して頂く 話しているうちにほとんどの方は自分がなりたいカウンセラーを話していると気がつく

現実の私は「センセーのようなカウンセラー像」と随分違う むしろ私のようなカウンセラーは目指さない方がいいと思う 楽にするだけの人助けを目的にしていないし苦しさを切り取らない、安易に共感を示さないし、必要だと思えば対決する、人の役に立つことが難しすぎて未だに模索、学びを続けている

 

カウンセリングは、ある心の葛藤や苦しみを抱えたクライエントさんが来てカウンセラーはその方の人生のある部分に関わる もしかしたら人生の重要な決断に繋がるかもしれない
そういう可能性はいつも漂っている
カウンセラーが知ろうが知るまいが、想像するかしないかは全く関係なくその方の人生のある部分を共に生きその方の人生に何かしらの影響を与えてしまう
いい加減や中途半端、逃げ、誤魔化しはその関係性にあってはならない

 

カウンセラーはまず自分と向き合って嚙み砕いて飲み込んである程度消化した上に立たないといけない 瞬間解決「先生ありがとう!」的な話はメルヘンだと思った方がいい
メルヘンチックな気持ちでは相手との対話に留まることが困難な場面は想像しているより多い 理論やスキルが役に立たない場面は本当に多くある
「人を救うことが使命」と口にする方が最近多くなった気がしているが使命であるならそれなりの在り方があるだろう
クライエントさんは現実に今日、今ここでも苦しんでいる メルヘンではない

 

心理支援は誰かをサポートしたい動機は力になる
しかし、過度に人を救いたい欲求がある場合は誰のためのカウンセリングか分からない場合がある カウンセリングやコーチングをしたいと思う気持ちの根底に自分の満足や承認されたい気持ち、人より上/救済者でありたい気持ちがないだろうか

・カウンセリングしてあげた
・アドバイスしてあげた
・私が側にいて良かったね

こんな言葉使いをよくしていないだろうか
上から目線言葉を無意識に使っているとしたら、相手より上にいるべきだと思い込んでいるかもしれない

・自分は人を救う力や才能がある

自分の精神的な安定に過度の価値づけが必要
人を救えない自分に価値はないので救い続けなければならない思い込みがあるかもしれない

・人助けをすると気持ち良い

人助けをしている時に脳は化学物質を分泌する
「ハピネス・トライフェクタ」(3つの幸せホルモン)が放出される 人助け中毒の背景には脳内物質が関係しているかもしれない

 

★救世主妄想
メサイア・コンプレックス(またはキリストコンプレックス)
・自分が救われたいから他人を救う
・人を助けることで自分の存在意義を確認する
・他人を救うことで優位に立とうとする

★ホワイトナイト症候群
自分のアドバイス、コーチングなどで人を支援することで相手を救いたいという欲求

 

心理支援に携わる動機のひとつに過去に精神的なダメージを受けた経験がある
自分が立ち直った経緯から恩返ししたいタイプと立ち直り切れてない痛みをクライエントさんを使って癒そうとする、あるいはケアしていない痛みを癒そうとしている場合もある 
先にあった「カウンセラーはまず自分と向き合って嚙み砕いて飲み込んである程度消化した上に立たないといけない」とはどれくらい自分の傷を自覚して理解しているかということだ 無意識にクライエントさんを自分のケアのツールにしてはいけない

ユングのアイディアに
・傷ついたヒーラー WOUNDED HEALER
心に傷がある人が心理支援に能力を発揮するというような意味

心に傷があるのは恥ずかしい事ではい
当事者としての自分を理解、認め心理支援を行うことでスキルや知識以上のセラピーが生まれることもある

傷ついた癒し手は
正しいこと、正論が通用しない世界を身をもって知っている
以前はセラピスト自身がどれくらい深く潜ったことがあるかが、クライアントをどれくらい深く支援できるかの限界になると言われていた 自分を深く掘ってきた分カウンセリングの場に立っていられると私は考えている

 

人助けの喜びは、自己満足と紙一重かもしれない

 

自分を信頼しつつ疑う
カウンセラーはそんな人かもしれない

 



『ロジャースが提唱する自分らしい生き方への10か条』 
1.偽りの仮面を脱いで、あるがままの自分になる
2.「こうすべき」「こうあるべき」といった「べき」から自由になる
3.他人の期待を満たし続けるのを辞める
4.他人を喜ばせるために、自分を型にはめるのを辞める
5.自分で自分の進む方向を決める
6.結果ではなく、プロセスそのものを生きる
7.変化に伴う複雑さを生きる
8.自分自身の経験に開かれ、自分が今、何を感じているのか気付いていく
9.自分自身を信頼する
10.他人をもっと受け入れるようにする

 

カール・ロジャース アメリカ合衆国の臨床心理学者。来談者中心療法を創始した。カウンセリングの研究手法として現在では当然の物となっている面接内容の記録・逐語化や、心理相談の対象者を患者ではなくクライエントと称したのも彼が最初 (Wikipedia 抜粋)