いつの間にか身につけてしまった「偽りの仮面」に気づく 心理学のエッセンスBlog


2022/1/3~


スーパーマン/シンデレラ 万能感

まだ本気出してない

堤真一さん主演の映画「俺はまだ本気出してないだけ

42歳のダメダメ親父のお話

自分には才能があって周りは気がついてない、突然漫画家になろうとするのですがゲーム三昧の日々…というコメディ映画です。

 

本気になれば誰よりも才能豊か

本気になればだれよりも注目される

自分は磨かれてない宝石の原石

今は本気ではないし、周りは気がついてない、

自分は凄い人、その辺の人達と自分は違う

 

コメディ映画でもなく、
「自分は何でもできる」という万能感は
誰にでもどこかにあるのではないでしょうか

 

幼児的万能感

思春期以前の子供の時に抱いていた「自分には何でもできる」という万能感

自分はOK、何でもできるという感覚は幼い頃の養育者の愛情から生まれます。幼い頃の養育者のサポートを自分の力と認識していると考えられます。

子供の頃に「サッカーでワールドカップに出る」「○○さんのようなファッションモデルになる」「デザイナー」「ゲームクリエーター」などスケールの大きな夢を話すのは自分の万能感から生まれます。

成長し自分の夢と自分の実力を比べ、実現不可能な夢を現実的実現へと修正していきます。この過程で「何でもできる」という幼児的万能感は修正されます。

自分が実現可能(努力は必要かと思いますが…)な、現実的な万能感を思春期に身につけていくということです。

 

ですが…

 

現実を見ない向き合わない、親の過剰な評価や期待をそのまま受け取って思春期を過ごすと現実的な万能感を身につけられないまま大人になります。「大人こども」は幼児的な万能感をそのまま持った大人です。

根拠のない確固たる自信、無条件に自分が優秀である

自分はまんまでOK、大丈夫!理由はないけどこれでいい!

こんな思い込みがあります。隠れスーパーマン、まだ見出されないシンデレラと信じているかもしれません。

周りからは自信満々、不安、悩みのない人に見えるかもしれません、または自信過剰で鼻もちならない、傲慢な人と思われている可能性もあります。

本人的には現実と自分の実力の差を感じ、不安を感じてより強く万能だと主張している場合があります。

 

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自信満々

自分を否定する人はNG

さて、根拠のない万能感を持っていると自分を否定する人を受け入れることができません。否定ではなく少しの意見、例えば「こんな風にすると効率が上がるよ」というようなアドバイスに対しても過剰に反応して相手を罵倒するようなこともあります。または自分は絶対間違えてないと思っているので意固地になって自分のやり方や考え方に執着します。

自分に意見する人を遠のけ、自分を肯定してくれる人、慣れ合ってくれる人、実力が低く自分を認めてくれる人の中で生きていこうとする傾向もあり、今の自分より、よりよくなることが難しくなります。

また、自分の非を認めること、人に謝罪することが難しく周りの信用を失い孤立する場合もあります。

 

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孤立

生きにくさMAX

自信がある 周りは知らない
自分は成功するはず、周りがおかしい
本気出せばできるはず

この考え方で生きているとしたら随分大変だろうと想像できます。
このタイプ全てではありませんが万能感の裏には、傷つきやすく繊細な側面が隠れていることもあります。

ということで…

傷つかないように現実離れした想像に引きこもりがちになります。自分の夢を達成するためのにどのようにしたらいいか考える、努力することはありません。現実的なことから避けようとします。

 

周りは現実を見なさいと言いたくなる

強い価値観を押し付けられると自分の価値観を返したくなるのも人間です。
自信満々で周りに気配りなしの妄想家 ちょっと大げさですがこんな態度の同僚がいたなら

現実はどうなの?ちゃんと見なさいよ!

と私なら言いたくなります。


しかし、万能感が強いタイプの方はその裏側に弱さを持っていることも多く、どんな言い方をしても意見交換ではなく自分への攻撃と捉えがちです。

どんな場合も自分はまんまでOK!
この価値観が揺らぐのですから相当な反撃があるでしょう。人間関係が悪くなるのは必至です。

万能感の強い人は現実と自分をすり合わせ、妥当な自己肯定感を身につけなければ考え方や行動は変わることはありません。幼い万能感を修正し育てるのは大人になった本人しかできないのです。周りからのアドバイスなどは効果は望めないでしょう。

私を冷たいヤツと思われるかもしれませんが
自分のことは自分でするしかないのです。
相手を強制的に根本から変えることは不可能です。

 

適度な自己肯定感

万能感は絶対悪でもありません。程よい自己肯定感は充実した人生に繋がります。
ですが、過度の万能感を持っていると人間関係や仕事の失敗、あるいは人生そのものを変えてしまうようなこともあるようです。

成功だけが人生でもありません。
どんな著名人でも失敗談はありますし、その人となりを表しているチャーミングな部分でもあって、むしろ魅力になることもあります。

失敗は永久に失敗でもない。
例えば誰かが失敗したとしましょう。その失敗はどれくらい自分の記憶に残りますか?
ずっと一生覚えている人は稀だと思います。失敗は一時のものです。

成功しても失敗しても自分に変わりはありません。

『ロジャースが提唱する自分らしい生き方への10か条』 
1.偽りの仮面を脱いで、あるがままの自分になる
2.「こうすべき」「こうあるべき」といった「べき」から自由になる
3.他人の期待を満たし続けるのを辞める
4.他人を喜ばせるために、自分を型にはめるのを辞める
5.自分で自分の進む方向を決める
6.結果ではなく、プロセスそのものを生きる
7.変化に伴う複雑さを生きる
8.自分自身の経験に開かれ、自分が今、何を感じているのか気付いていく
9.自分自身を信頼する
10.他人をもっと受け入れるようにする

 

カール・ロジャース アメリカ合衆国の臨床心理学者。来談者中心療法を創始した。カウンセリングの研究手法として現在では当然の物となっている面接内容の記録・逐語化や、心理相談の対象者を患者ではなくクライエントと称したのも彼が最初 (Wikipedia 抜粋)