いつの間にか身につけてしまった「偽りの仮面」に気づく 心理学のエッセンスBlog


2022/1/3~


スーパーマン/シンデレラ3 セルフイメージ

スーパーマン
私はスーパーマン

セルフイメージとは

自己概念:Self-consept

自分をどのように受け止め、どのように思っているのかについての概念的ゲシュタルト。われわらは自分について「私はこういう人間である」という概念やイメージを常に持っており、われわれの行動や思考などはそれに基づいてなされる場合が多い。(以下略)

出典:カウンセリング辞典 誠信書房 2005年

 

誰にでも自分はこういう人間というイメージがある。「私は自分がわからない」と思っていたとしても「私は自分がわからない人間」というイメージはあるということ。と言ったら少し意地が悪いかもしれない・・・。

 

「私は自分がわからない」は言い換えれば「自分のホンネが分からない」とか「何を感じているのかわからない」というように自分の一部分について分からないと言いているのであって、自分の年齢や家族、どんな環境で育ってきたのか、今どのような生活をしているかを分かっていると思う。自己概念には自分につての全てが含まれる。ということで自己概念が全く無いこともない。事故や病気で脳の損傷を受けた場合を除けばの話ではあるますが…。

 

自己概念は自分についてのイメージのカタマリです。
幼い頃からの経験、周囲からの評価、環境など様々なものから自分について意味付けた集大成と言っていいでしょう。なので本来生まれ持った資質とのズレがある場合もあります。というより…ズレている場合が多いかもしれませんね…。

 

その土地の文化、習慣、風習なども大きく影響しています。
例えば多少古い表現ですが
「日本男児」とは!
「大和なでしこ」とは!
のような躾をされ自分でも思い込み「○○」らしい自分であるとセルフイメージが出来上がると、思考や行動がそのようになるということ。

 

本来優しい男子、雄々しい女子だとしても、その要素は自分のセルフイメージと一致しませんので無視され、または否定されるかねじ曲がって解釈されたりします。本来の自分の感覚は無視されているか否定されている場合もあるのです。

 

「私は○○なニンゲン!」

○○以外は私ではない 私は○○を生きていく

 

子供の頃、一番身近にいる養育者の影響は計り知れません。子供は親の価値観を受け入れて生きていくしかありませんので親の価値観を鵜呑みにしてしまうこともあります。

甘やかされて育った人の記事はこちら

ligthbrreeeze.hatenablog.com

万能である自分

無条件に自分に自信がある人のセルフイメージは、
自分は万能である
ということです。

自分は万能であるという一貫したイメージを持ち、そのイメージについてかたくなです。セルフイメージ以外を否定し現実をねじまげて捉えているかもしれません。

ということで不適応状態になっている…とロジャース先生は言うかもしれませんね。

 

セルフイメージは一端出来上がると修正が難しい側面があります


「自分はこんなニンゲン」と思うと仕方ないなぁ…と思うことはありませんか、
または「私の生き方はこれしかない」という思い込みはありませんか
セルフイメージは心、身体に染み込んだ正に自分自身です。
もし違和感を感じたり、苦しい感じ、辛い感じがあるとしたら
別な可能性があるかもしれませんよ…

スーパーマン/シンデレラ2 甘やかされて育った人

甘やかされて育った人

「彼女は、子供を彼女に全く依存するものにし、子供が常に彼女に縛りつけられたものになるように子供の生を支配しようとするかもしれない」

A・アドラー 『人生の意味の心理学』 

 

アドラー先生の言う甘やかしとは

親が子供の先回りをして何でも与え、手を配り子供が困らないようにすることで子供をコントロールしようとすること、自分の欲望(無意識かもしれない)から子供の生を無視した養育の仕方を指します。

甘やかされた子どもは、自分の願いが法律になることを期待するように育てられている。

A・アドラー 『人生の意味の心理学』 

 

子供にとって親は人として初めての人間関係です。親が甘やかした子育てをすると自分がして欲しいことは周囲の人が何でも叶えてくれる存在と思うようになる。

自分がいつでもその場の中心になるのは当然、注目されて当然、自分の気持ちや気分を察してもらって当たり前…となるワケです。

 

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良い子良い子!

 

他人は敵だ!

さて、アドラー先生と言えば「全ての悩みは人間関係から生まれる」という言葉が有名です。私たちは生まれて直ぐ立ち上がりサバンナを駆けて生きていく野生動物とはちがってある期間は自分の全てを他者に委ね育ててもらわなければ生きていけません。生まれてすぐに他者との人間関係が始まります。

 

そして、対人関係は他者は「敵」と見なすことから始まります。

 

何故なら、他者は自分のしたいことを阻んだり遮ったり、自分の邪魔をすることがあるからです。人間関係の悩みは「自分の思うとおりさせてくれない敵」とのイザコザ、摩擦、ということで悩みは人間関係から生まれる とアドラー先生は考えました。

おもちゃが欲しいけれど、おもちゃをくれない親は『敵』
大人しくして欲しいのに大人しくしない子供は『敵』

こんな気持ちは誰にでも起きますよね…

 

自分の居場所

人には自分の居場所が欲しい!という所属の欲求があります。
『敵』と見なしてしまう時もあれば、愛情をかけたい、愛情をかけて欲しい、いろいろな経験をしながら自分が所属する場所を見つけ人間関係を構築していく、成長を続けるのも人間。どこかで折り合いをつけたり、全く違う側面から考えてみたり、経験を通して精神的なトレーニングを重ね居場所を見つけ、仲間を作ります。

一方、甘やかされて育った者にとっては親は『敵』でもありませんでした。自分の問題を次々解決し気持ちを察してくれる自分の味方なのです。絶対的な味方が側にいる間は多分思い通りになったことでしょう。

しかし、学校、社会では周りは『敵』だらけです。自分の期待とおり全て与えてくれる他者はいないでしょう。今まで当たり前だったことが当たり前でなくなるのですから、混乱したり攻撃的なるかもしれません。他者から何かを得ることが当然という確信もあり自分から他者に何かを返すことはありません。

甘やかされた育ち、そのまま大人になった人は自分が生きやすい居場所はみつからないかもしれません。

 

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子供のように怒ってません?

人生の意味

前回の記事「スーパーマン/シンデレラ 万能感」の
自分は何でもできる根拠のない自信 
は甘やかされて身についた可能性もあります。

人生をどのように意味付けしてどのように生きるかというその人独自の生き方を『ライフスタイル』とアドラー先生は言っています。
幼児期に本人が気づかず身につけた人生の目標で、自分の人生の方向性を決定します。

世界は自分に何もかも与えてくれるのが当然
他者は自分を称賛するのが当然
自分は常に中心にあって自分が法律

このような不適切な確信は不適切な人間関係を作ります。
自分の生き方は自分で気づいて修正することは出来ます。
他者の力を借りるのもOK
心当たりのある方は自分に何が起こっているのか、まず冷静に観察してみましょう。

 

ligthbrreeeze.hatenablog.com

 

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スーパーマン/シンデレラ 万能感

まだ本気出してない

堤真一さん主演の映画「俺はまだ本気出してないだけ

42歳のダメダメ親父のお話

自分には才能があって周りは気がついてない、突然漫画家になろうとするのですがゲーム三昧の日々…というコメディ映画です。

 

本気になれば誰よりも才能豊か

本気になればだれよりも注目される

自分は磨かれてない宝石の原石

今は本気ではないし、周りは気がついてない、

自分は凄い人、その辺の人達と自分は違う

 

コメディ映画でもなく、
「自分は何でもできる」という万能感は
誰にでもどこかにあるのではないでしょうか

 

幼児的万能感

思春期以前の子供の時に抱いていた「自分には何でもできる」という万能感

自分はOK、何でもできるという感覚は幼い頃の養育者の愛情から生まれます。幼い頃の養育者のサポートを自分の力と認識していると考えられます。

子供の頃に「サッカーでワールドカップに出る」「○○さんのようなファッションモデルになる」「デザイナー」「ゲームクリエーター」などスケールの大きな夢を話すのは自分の万能感から生まれます。

成長し自分の夢と自分の実力を比べ、実現不可能な夢を現実的実現へと修正していきます。この過程で「何でもできる」という幼児的万能感は修正されます。

自分が実現可能(努力は必要かと思いますが…)な、現実的な万能感を思春期に身につけていくということです。

 

ですが…

 

現実を見ない向き合わない、親の過剰な評価や期待をそのまま受け取って思春期を過ごすと現実的な万能感を身につけられないまま大人になります。「大人こども」は幼児的な万能感をそのまま持った大人です。

根拠のない確固たる自信、無条件に自分が優秀である

自分はまんまでOK、大丈夫!理由はないけどこれでいい!

こんな思い込みがあります。隠れスーパーマン、まだ見出されないシンデレラと信じているかもしれません。

周りからは自信満々、不安、悩みのない人に見えるかもしれません、または自信過剰で鼻もちならない、傲慢な人と思われている可能性もあります。

本人的には現実と自分の実力の差を感じ、不安を感じてより強く万能だと主張している場合があります。

 

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自信満々

自分を否定する人はNG

さて、根拠のない万能感を持っていると自分を否定する人を受け入れることができません。否定ではなく少しの意見、例えば「こんな風にすると効率が上がるよ」というようなアドバイスに対しても過剰に反応して相手を罵倒するようなこともあります。または自分は絶対間違えてないと思っているので意固地になって自分のやり方や考え方に執着します。

自分に意見する人を遠のけ、自分を肯定してくれる人、慣れ合ってくれる人、実力が低く自分を認めてくれる人の中で生きていこうとする傾向もあり、今の自分より、よりよくなることが難しくなります。

また、自分の非を認めること、人に謝罪することが難しく周りの信用を失い孤立する場合もあります。

 

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孤立

生きにくさMAX

自信がある 周りは知らない
自分は成功するはず、周りがおかしい
本気出せばできるはず

この考え方で生きているとしたら随分大変だろうと想像できます。
このタイプ全てではありませんが万能感の裏には、傷つきやすく繊細な側面が隠れていることもあります。

ということで…

傷つかないように現実離れした想像に引きこもりがちになります。自分の夢を達成するためのにどのようにしたらいいか考える、努力することはありません。現実的なことから避けようとします。

 

周りは現実を見なさいと言いたくなる

強い価値観を押し付けられると自分の価値観を返したくなるのも人間です。
自信満々で周りに気配りなしの妄想家 ちょっと大げさですがこんな態度の同僚がいたなら

現実はどうなの?ちゃんと見なさいよ!

と私なら言いたくなります。


しかし、万能感が強いタイプの方はその裏側に弱さを持っていることも多く、どんな言い方をしても意見交換ではなく自分への攻撃と捉えがちです。

どんな場合も自分はまんまでOK!
この価値観が揺らぐのですから相当な反撃があるでしょう。人間関係が悪くなるのは必至です。

万能感の強い人は現実と自分をすり合わせ、妥当な自己肯定感を身につけなければ考え方や行動は変わることはありません。幼い万能感を修正し育てるのは大人になった本人しかできないのです。周りからのアドバイスなどは効果は望めないでしょう。

私を冷たいヤツと思われるかもしれませんが
自分のことは自分でするしかないのです。
相手を強制的に根本から変えることは不可能です。

 

適度な自己肯定感

万能感は絶対悪でもありません。程よい自己肯定感は充実した人生に繋がります。
ですが、過度の万能感を持っていると人間関係や仕事の失敗、あるいは人生そのものを変えてしまうようなこともあるようです。

成功だけが人生でもありません。
どんな著名人でも失敗談はありますし、その人となりを表しているチャーミングな部分でもあって、むしろ魅力になることもあります。

失敗は永久に失敗でもない。
例えば誰かが失敗したとしましょう。その失敗はどれくらい自分の記憶に残りますか?
ずっと一生覚えている人は稀だと思います。失敗は一時のものです。

成功しても失敗しても自分に変わりはありません。

『ロジャースが提唱する自分らしい生き方への10か条』 
1.偽りの仮面を脱いで、あるがままの自分になる
2.「こうすべき」「こうあるべき」といった「べき」から自由になる
3.他人の期待を満たし続けるのを辞める
4.他人を喜ばせるために、自分を型にはめるのを辞める
5.自分で自分の進む方向を決める
6.結果ではなく、プロセスそのものを生きる
7.変化に伴う複雑さを生きる
8.自分自身の経験に開かれ、自分が今、何を感じているのか気付いていく
9.自分自身を信頼する
10.他人をもっと受け入れるようにする

 

カール・ロジャース アメリカ合衆国の臨床心理学者。来談者中心療法を創始した。カウンセリングの研究手法として現在では当然の物となっている面接内容の記録・逐語化や、心理相談の対象者を患者ではなくクライエントと称したのも彼が最初 (Wikipedia 抜粋)