いつの間にか身につけてしまった「偽りの仮面」に気づく 心理学のエッセンスBlog


2022/1/3~


スーパーマン/シンデレラ2 甘やかされて育った人

甘やかされて育った人

「彼女は、子供を彼女に全く依存するものにし、子供が常に彼女に縛りつけられたものになるように子供の生を支配しようとするかもしれない」

A・アドラー 『人生の意味の心理学』 

 

アドラー先生の言う甘やかしとは

親が子供の先回りをして何でも与え、手を配り子供が困らないようにすることで子供をコントロールしようとすること、自分の欲望(無意識かもしれない)から子供の生を無視した養育の仕方を指します。

甘やかされた子どもは、自分の願いが法律になることを期待するように育てられている。

A・アドラー 『人生の意味の心理学』 

 

子供にとって親は人として初めての人間関係です。親が甘やかした子育てをすると自分がして欲しいことは周囲の人が何でも叶えてくれる存在と思うようになる。

自分がいつでもその場の中心になるのは当然、注目されて当然、自分の気持ちや気分を察してもらって当たり前…となるワケです。

 

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良い子良い子!

 

他人は敵だ!

さて、アドラー先生と言えば「全ての悩みは人間関係から生まれる」という言葉が有名です。私たちは生まれて直ぐ立ち上がりサバンナを駆けて生きていく野生動物とはちがってある期間は自分の全てを他者に委ね育ててもらわなければ生きていけません。生まれてすぐに他者との人間関係が始まります。

 

そして、対人関係は他者は「敵」と見なすことから始まります。

 

何故なら、他者は自分のしたいことを阻んだり遮ったり、自分の邪魔をすることがあるからです。人間関係の悩みは「自分の思うとおりさせてくれない敵」とのイザコザ、摩擦、ということで悩みは人間関係から生まれる とアドラー先生は考えました。

おもちゃが欲しいけれど、おもちゃをくれない親は『敵』
大人しくして欲しいのに大人しくしない子供は『敵』

こんな気持ちは誰にでも起きますよね…

 

自分の居場所

人には自分の居場所が欲しい!という所属の欲求があります。
『敵』と見なしてしまう時もあれば、愛情をかけたい、愛情をかけて欲しい、いろいろな経験をしながら自分が所属する場所を見つけ人間関係を構築していく、成長を続けるのも人間。どこかで折り合いをつけたり、全く違う側面から考えてみたり、経験を通して精神的なトレーニングを重ね居場所を見つけ、仲間を作ります。

一方、甘やかされて育った者にとっては親は『敵』でもありませんでした。自分の問題を次々解決し気持ちを察してくれる自分の味方なのです。絶対的な味方が側にいる間は多分思い通りになったことでしょう。

しかし、学校、社会では周りは『敵』だらけです。自分の期待とおり全て与えてくれる他者はいないでしょう。今まで当たり前だったことが当たり前でなくなるのですから、混乱したり攻撃的なるかもしれません。他者から何かを得ることが当然という確信もあり自分から他者に何かを返すことはありません。

甘やかされた育ち、そのまま大人になった人は自分が生きやすい居場所はみつからないかもしれません。

 

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子供のように怒ってません?

人生の意味

前回の記事「スーパーマン/シンデレラ 万能感」の
自分は何でもできる根拠のない自信 
は甘やかされて身についた可能性もあります。

人生をどのように意味付けしてどのように生きるかというその人独自の生き方を『ライフスタイル』とアドラー先生は言っています。
幼児期に本人が気づかず身につけた人生の目標で、自分の人生の方向性を決定します。

世界は自分に何もかも与えてくれるのが当然
他者は自分を称賛するのが当然
自分は常に中心にあって自分が法律

このような不適切な確信は不適切な人間関係を作ります。
自分の生き方は自分で気づいて修正することは出来ます。
他者の力を借りるのもOK
心当たりのある方は自分に何が起こっているのか、まず冷静に観察してみましょう。

 

ligthbrreeeze.hatenablog.com

 

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スーパーマン/シンデレラ 万能感

まだ本気出してない

堤真一さん主演の映画「俺はまだ本気出してないだけ

42歳のダメダメ親父のお話

自分には才能があって周りは気がついてない、突然漫画家になろうとするのですがゲーム三昧の日々…というコメディ映画です。

 

本気になれば誰よりも才能豊か

本気になればだれよりも注目される

自分は磨かれてない宝石の原石

今は本気ではないし、周りは気がついてない、

自分は凄い人、その辺の人達と自分は違う

 

コメディ映画でもなく、
「自分は何でもできる」という万能感は
誰にでもどこかにあるのではないでしょうか

 

幼児的万能感

思春期以前の子供の時に抱いていた「自分には何でもできる」という万能感

自分はOK、何でもできるという感覚は幼い頃の養育者の愛情から生まれます。幼い頃の養育者のサポートを自分の力と認識していると考えられます。

子供の頃に「サッカーでワールドカップに出る」「○○さんのようなファッションモデルになる」「デザイナー」「ゲームクリエーター」などスケールの大きな夢を話すのは自分の万能感から生まれます。

成長し自分の夢と自分の実力を比べ、実現不可能な夢を現実的実現へと修正していきます。この過程で「何でもできる」という幼児的万能感は修正されます。

自分が実現可能(努力は必要かと思いますが…)な、現実的な万能感を思春期に身につけていくということです。

 

ですが…

 

現実を見ない向き合わない、親の過剰な評価や期待をそのまま受け取って思春期を過ごすと現実的な万能感を身につけられないまま大人になります。「大人こども」は幼児的な万能感をそのまま持った大人です。

根拠のない確固たる自信、無条件に自分が優秀である

自分はまんまでOK、大丈夫!理由はないけどこれでいい!

こんな思い込みがあります。隠れスーパーマン、まだ見出されないシンデレラと信じているかもしれません。

周りからは自信満々、不安、悩みのない人に見えるかもしれません、または自信過剰で鼻もちならない、傲慢な人と思われている可能性もあります。

本人的には現実と自分の実力の差を感じ、不安を感じてより強く万能だと主張している場合があります。

 

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自信満々

自分を否定する人はNG

さて、根拠のない万能感を持っていると自分を否定する人を受け入れることができません。否定ではなく少しの意見、例えば「こんな風にすると効率が上がるよ」というようなアドバイスに対しても過剰に反応して相手を罵倒するようなこともあります。または自分は絶対間違えてないと思っているので意固地になって自分のやり方や考え方に執着します。

自分に意見する人を遠のけ、自分を肯定してくれる人、慣れ合ってくれる人、実力が低く自分を認めてくれる人の中で生きていこうとする傾向もあり、今の自分より、よりよくなることが難しくなります。

また、自分の非を認めること、人に謝罪することが難しく周りの信用を失い孤立する場合もあります。

 

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孤立

生きにくさMAX

自信がある 周りは知らない
自分は成功するはず、周りがおかしい
本気出せばできるはず

この考え方で生きているとしたら随分大変だろうと想像できます。
このタイプ全てではありませんが万能感の裏には、傷つきやすく繊細な側面が隠れていることもあります。

ということで…

傷つかないように現実離れした想像に引きこもりがちになります。自分の夢を達成するためのにどのようにしたらいいか考える、努力することはありません。現実的なことから避けようとします。

 

周りは現実を見なさいと言いたくなる

強い価値観を押し付けられると自分の価値観を返したくなるのも人間です。
自信満々で周りに気配りなしの妄想家 ちょっと大げさですがこんな態度の同僚がいたなら

現実はどうなの?ちゃんと見なさいよ!

と私なら言いたくなります。


しかし、万能感が強いタイプの方はその裏側に弱さを持っていることも多く、どんな言い方をしても意見交換ではなく自分への攻撃と捉えがちです。

どんな場合も自分はまんまでOK!
この価値観が揺らぐのですから相当な反撃があるでしょう。人間関係が悪くなるのは必至です。

万能感の強い人は現実と自分をすり合わせ、妥当な自己肯定感を身につけなければ考え方や行動は変わることはありません。幼い万能感を修正し育てるのは大人になった本人しかできないのです。周りからのアドバイスなどは効果は望めないでしょう。

私を冷たいヤツと思われるかもしれませんが
自分のことは自分でするしかないのです。
相手を強制的に根本から変えることは不可能です。

 

適度な自己肯定感

万能感は絶対悪でもありません。程よい自己肯定感は充実した人生に繋がります。
ですが、過度の万能感を持っていると人間関係や仕事の失敗、あるいは人生そのものを変えてしまうようなこともあるようです。

成功だけが人生でもありません。
どんな著名人でも失敗談はありますし、その人となりを表しているチャーミングな部分でもあって、むしろ魅力になることもあります。

失敗は永久に失敗でもない。
例えば誰かが失敗したとしましょう。その失敗はどれくらい自分の記憶に残りますか?
ずっと一生覚えている人は稀だと思います。失敗は一時のものです。

成功しても失敗しても自分に変わりはありません。

気分/気持ち 気分屋さん

とある出来事

その1

「今日ヒマ?ライブ行かない?」

「そんな気分じゃないなぁ…やめておく」

 

その2

「今日ヒマ?ライブいかない?」

気持ちが乗らないなぁ…やめておく」

 

この違いは何だろう…

 

気分屋

その時の気分で行動や言動が変わるタイプを気分屋さんと言います

自分の気分次第でコミュニケーションの仕方が変わってしまうことも多く、人間関係がうまくいかない場合も多いのではないでしょうか

職場に「気分屋さん」がいて大変!
気を使うので疲れる
逆に本人は気を使ってもらって当然だと思っている
こんな人間関係でうまくいっているかのように見えます

がしかし

気を使ってまで付き合うにも限界がありますので、いつしか人が遠のき孤立するかもしれません。

現実に私は何故孤立するのか…という悩みを持っている方のお話を聴いていると自分では気がついていない「気分屋さん」気質が見え隠れするケースがあります。

 

気分と気持ち

気分とは…

・ある期間持続する漠然とした心身の状態

・その場の雰囲気

・ムード

◆その場の環境に由来する

◆雰囲気・ニュアンスとして感じられる

 

気持ちとは…

・物事に接した際にそれに対して感じた心の状態や心のありかた

・からだの状態から生じる快や不快

・「ほんの少し」という意味でも使われる

・心理学界隈では感情にかかる主観的な経験、個人的、主観的意識

・日本では「心持ち」と言われていた 昭和以降「気持ち」

◆何かの物事に対して本人が主観的に感じるモノ

◆自分の価値観、理屈、考えが含まれる

◆主観的な接し方 心の持ち方

 

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気持ち

ふたたび こんなことが起こっているかもしれない

その1

「今日ヒマ?ライブ行かない?」

「そんな気分じゃないなぁ…やめておく」

 

⇓理由

・誘った人の雰囲気がイヤだ

・声をかけられた場の雰囲気がイヤだ

・からだが反応した

 

その2

「今日ヒマ?ライブいかない?」

気持ちが乗らないなぁ…やめておく」

 

⇓理由

・ライブのアーティストがイヤだ

・誘った人の趣味と合わない

・ライブは嫌いだ

 

気分に気がつく

気分屋さんはその場その場の気分のまま行動したり話したり、自分自身が「気分」そのものになってしまっています。気分はその場の雰囲気から起こりますので、本人的には「ありのまま」の素直な自分でいると思っているかもしれません。

ですが、気分はあくまでも自分に起こっているものですので相手と共有することはありません。気分が良い・悪いは自分の内側です。相手やその場に全て受け入れられるとは限らないのです。

人は社会の中で生きています。家族と言えどひとつの社会です。上手にコミュニケーションをとってより良い人間関係を構築していく…何もかも我慢することではなく…程よく自分を表現できたらいいですよね…

「気分屋さん」を卒業するなら
その場の気分に飲み込まれない、気分そのものにならないこと

程よいセルフコントロールが必要です。

 

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気分との距離感

気分屋さん

出来事=気分=自分そのもの

新しいスタイル

出来事=気分 👀 自分

「今の私にはこんな気分がある」

気分を眺めている

 

誰でもその時々の気分があります。気分そのものは悪者ではありません。
気分との距離をとって、そのものにならないようにコントロールしてみましょう。

今の自分にはこういう気分がある。
気分だから起こって当然、自分はそんな気分と一緒にいる。

こんな言葉をかけるのもひとつの方法です。

気分を絵に描いて眺めてみてから、脇に置いてみる
こんなワークもあります。

最初はうまくいかないかもしれませんが時間をかけて続けていくと「気分」そのものになることが減っていくと思います。

 

興味のある方はお試しくださいね!

『ロジャースが提唱する自分らしい生き方への10か条』 
1.偽りの仮面を脱いで、あるがままの自分になる
2.「こうすべき」「こうあるべき」といった「べき」から自由になる
3.他人の期待を満たし続けるのを辞める
4.他人を喜ばせるために、自分を型にはめるのを辞める
5.自分で自分の進む方向を決める
6.結果ではなく、プロセスそのものを生きる
7.変化に伴う複雑さを生きる
8.自分自身の経験に開かれ、自分が今、何を感じているのか気付いていく
9.自分自身を信頼する
10.他人をもっと受け入れるようにする

 

カール・ロジャース アメリカ合衆国の臨床心理学者。来談者中心療法を創始した。カウンセリングの研究手法として現在では当然の物となっている面接内容の記録・逐語化や、心理相談の対象者を患者ではなくクライエントと称したのも彼が最初 (Wikipedia 抜粋)